SDGs の翻訳

スタッフ Y です。

日本でもすっかり定着したといっても過言ではない「SDGs」ですが、弊社でも SDGs に関連するドキュメントの翻訳は年々増加しており、これからの世界が一丸となって取り組むテーマであることを日々実感しています。

今回は SDGs と翻訳についてご説明します。

SDGsとは何か

最近では、「SDGs」という言葉を聞いたことがない人は少ないと思いますが、「具体的に知っている、または説明できるか」と聞かれると、ちょっと難しいと思う人も多いようです。

これだけの注目度の高さにもかかわらず、なぜ説明できないのかといえば、以下のような理由なのではないかと推測されます。

  • SDGs というテーマ自体がグローバルなものであまり身近に感じない
  • SDGs というキーワードだけが先行して詳細のゴールの理解がなく具体的によくわからない
  • 企業が行うもので個人は関係ないと思っている

 

実は個人だからまったく無関係、ということではありません。むしろこれからの時代はSDGs 抜きには語れないくらい重要なキーワードなのです。

SDGs とは、Sustainable Development Goals の略称で、日本語では「2030年にあるべき未来」を掲げた国際目標 と訳されています。

このように、SDGs では「2030年までに 17のゴールを達成する」ことを約束しています。

SDGs の理念

そもそも SDGs は、「誰一人取り残さない」という理念を掲げています。

つまり、様々な環境の変化に伴って誰一人遅れることなく、この変化に対応できる社会を作ろうという意思表示をしているわけです。世界の人口は 約 76億人ですから、この「すべての人間を取り残さない」というのは、かなり壮大な目標だということがお分かりになると思います。

他人事ではなく「自分ごと」に

この壮大な目標を設定したのには、 SDGsの前身ともいうべき「MDGs」という目標があり、この MDGs が原因です。

MDGs とは「 途上国を支援する国際目標 」です。

MDGs は貧困や飢餓の撲滅、初等教育の達成、幼児死亡率などの引き下げなどの目標について掲げた目標であり、結果として一定の成果を出しましたが、先進国 にとっては「自分事ではなかった」ため後々に問題になってしまったのです。

SDGs に限らず、多くの人が集まり活動するときはそうですが、「一部の人や国」だけが問題の改善に取り組んでも継続することはできません。どうしても不公平感が出てしまうためです。

また逆に「皆で決める」というケースも継続が困難になります。「船頭多くして船山に上る」という状態になりかねないからです。どちらにしても「他人事」になってしまうことで成果が出にくい状態になります。

「他人事」ではなく「自分ごと」にしていかなければ、この壮大な目標は達成することができないと気づいたのです。だからこそ、MDGs ではなく SDGs は世界的な動きになっているのです。

17のゴール、169のターゲット、232のインジケーター

この図のように、SDGs は「17の大きな目標」とそれらを達成するための具体的な「169のターゲット」、成果を測るための「232のインジケーター(指標)」で構成されています。

そしてこれらを 2016 年~ 2030 年の 15 年間で達成しなければなりません。

17 のゴール

まず初めに「17のゴール」について解説します。これらは大きく分けると、「環境・社会・経済」の 3 つに分けることができます。

分類対応する目標解説
環境6、13、14、15私たちが生活する「自然」や「環境」についての課題
社会1、2、3、4、5、7、11、16
具体的な「生活」を営む上での課題
経済8、9、10、12「環境」と「社会」が成り立ち、初めて発展していく

この3つの分類の課題が解決したとき目標を達成できるといえます。

169 のターゲット

17 のゴールだけだとやはりまだまだ枠組みとしては大きく、具体的にどうすればいいかイメージがしにくいため、さらに169のターゲットに分けられています。

例えば、「お金持ちになりたい」という夢をずっと持っていても、「具体的にどうやってお金持ちになるのか」を計画しなければ達成できません。それと同様に具体的な方策が必要になってきます。一例をご紹介します。

例:ターゲット1「貧困をなくそう」

“2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。”

1.25ドル(約133円)未満で生活する人がいなくなると、「貧困をなくそう」というゴールに近づく、ということになります。

※上記ははあくまで一例です。これだけでは貧困を無くしたことにはなりません。

232 のインジケーター

これらを確認・測定する方法が「232のインジケーター(グローバル指標)」で定められています。今回の例では以下の指標で確認します。

国際的な貧困ラインを下回って生活している人口の割合(性別、年齢、雇用形態、地理的ロケーション(都市/地方)別)

 

日本では総務省が以下のように示しています。

外務省も Web サイトを公開しています。

このように目標に対しての達成度合いを測定し、進捗を確認することができます。

なお、国連でも1年に1度、進捗や課題を確認する会議が開かれており、毎年各国の進捗状況が公表されていますが、2020年に発表された日本の進捗は17位でした。

CSR、ESGとの関係

さて、SDGs というキーワードと同じくらい頻出するキーワードに「CSRとESG」があります。CSR、ESG はそれぞれ以下の意味になります。

 これまでの社会ではどちらかというと、儲けたお金の一部を CSR 活動に回し、「社会にとって良いことをしていこう」という発想(経営+α)でした。CSR を行う企業への投資は、あくまでも利益を出している会社が行っていることであり、投資リスクがあるかないかの判断には直接関係ありませんでした。「企業経営」とは異なる指標で行われていました。(もちろんこれらによる企業イメージ向上はあります)

しかし、2017年に経団連が 7 年ぶりに「行動企業憲章」を改定し、Society5.0(ソサイエティー5.0)というコンセプトが決まり、その流れは大きく変わりました。

Society 5.0(ソサイエティー 5.0)とは

Society 5.0 というキーワードも外すことができません。

Society 5.0とは、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会という意味で、政府の第5期科学技術基本計画(2016年1月)において初めて提唱された考えです。当初は日本の科学技術政策の中で生み出された考えでしたが、わが国そして世界が目指すべき未来の社会像として、世界中に広まりつつあるコンセプトであり、政府のみならず産業界や学術界も一緒になって取り組みを進めているものです。

引用元:経団連 Web サイト

上記の経団連の Webサイトによると従来の、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すものとあります。

全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服しようという内容です。

ご存じのように経団連は一部上場企業の7割が加盟しており、経済界でもっとも影響力がある団体ですから、その団体が前述のように、「本業を通じてきちんと利益を出しながらSDGsを達成しよう」と明示したことになります。実はそれまでも、CSR ではなくCSVといった「社会課題を企業の強みで解決する動き」がありましたが、経団連が動いたことにより、いよいよ本格的になりました。

なぜなら、「SDGs=持続可能な目標」ですから、SDGs に取り組まない企業は「持続可能なビジネスを行うことができない企業」とみなされることになるからです。

一方、投資家などのステークホルダーの立場から見ると、SDGs に取り組まない企業は「目先の利益しか見込まない企業」として位置づけられ、「経営においても持続可能ではない」と投資価値がないと判断されるようになりました。

ESG 投資とは

もうひとつのキーワード「ESG」は「ESG 投資」と呼ばれることも多く、「SDGs に取り組む企業に投資すること」を意味します。

経営×社会・環境問題という点では CSR と ESG は似ていますが、実は何もかも全く異なるものです。企業経営の視点だけでなく、投資家からの視点でも大きな変革が起きていると言えます。

これからの SDGs 経営とは

このように、SDGs を中心とした経営を推進するためには、以下のサイクルを回していくことが大切です。(クリックして拡大)

上記のサイクルを正しく回していくことで SDGs  に取り組む企業としてのイメージを醸成し、さらにそれが社会への好影響を与えることになります。

SDGs 宣言について

これまで見てきたように、企業関係者だけでなく、投資家・株主・銀行・民間団体・一般社員・学校・消費者などすべての人が影響をうけ、そしてそれぞれが関係する社会となります。

そのため、SDGs は(言い方は悪いですが)コソコソやっていては意味がありません。しっかりと「SDGs 宣言」を行う必要があります。

SDGs 宣言とは、その名の通り「SDGs に取り組んでいる企業・団体・協会等」として公表することです。特に「~をしているから宣言となる」といったルールはありませんが、Web サイトや SNS を使用することはもちろん、CSR レポート、SDGs レポートの作成などが必要です。

SDGs 宣言の例

・長崎トヨペット株式会社:https://nagasaki-toyopet.com/company/sdgs/

・株式会社イトーキ: https://www.itoki.jp/company/sdgs.html

・株式会社桑原: https://www.kuwatechno.jp/sdgs

・石川県小松市:https://www.city.komatsu.lg.jp/soshiki/ecology_suishin/oshirase/10055.html

環境エネルギー分野の将来と翻訳

これまで述べてきたように、今は「SDGs」が大きなトレンドとなって地球環境の整備を推し進めています。また、次世代エネルギー分野における成長機会、市場規模は19.3兆円といわれています。

(参考:課題解決イノベーションの投資促進に向けた 経団連、東京大学、GPIF の共同研究報告書、45P)

「持続可能」というのは色々な事業に置き換えることができますので、どの分野の企業でも対応可能ですから、今後も環境エネルギー分野は注目に値するといえます。

さらに企業としてこれらの活動をどうやって発信していくのかという部分も重要度が増してきます。

発信するメディア/媒体

例えば以下のようなメディアや媒体を利用して積極的に SDGs 活動を発信することが求められています。

  • Web サイト
  • SNS
  • SDGs レポート
  • CSR レポート
  • CSR 報告書
  • 統合報告書
  • SDGs Book
  • サステナビリティレポート
  • SDGs 宣言

 

もちろん上記以外にも、記事や冊子でも発信が可能です。またこれからは SDGs の商品化もますます増えるかもしれません。

SDGs を使ったサービスや商品化は、国連の許可が必要なので簡単ではなありませんが、すでにあちこちで SDGs を見かけるようになっています。

このように今後は企業にとって、様々なメディアや媒体での発信が重要になるわけですが、それらは決して国内だけにとどまらず、グローバルへの発信も必要になるため、多言語に翻訳を行ったほうがいいドキュメントでしょう。

企業として正確で読みやすい文章に翻訳し、各ステークホルダーに対して発信し続けることは、これからのサステナブルな社会の一員としての責任でもあると言えます。

まとめ

今後、世界が SDGs というワンテーマで進んでいく流れは変わりません。ビジネス戦略上も SDGs を深く理解し、正しく運用、発信することによって「持続可能な社会」を達成することができるのではないでしょうか。

そのために弊社では、環境エネルギー分野専門の翻訳サービスをご提供いたします。

・初めてお願いするので不安

・世界に発信するものなので、質にはこだわりたい

・専門性の高いドキュメントに対応できるか

・分かりやすい内容になっているか

このようなお悩みをお持ちの方はぜひ一度弊社にお問い合わせください。是非、弊社と「パートナーシップ」を築き持続可能な社会を目指していければと思います。

「強いものが弱い者を助けるスーパーマンにあこがれていた世界から、すべての人や企業・サービス・もの・情報・環境などを駆使して、共にパートナーシップを築いていこう」

そんな世界を目指し、翻訳サービスをご提供したいと思います。

 

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